近日、北京市集佳法律事務所の孫長龍弁護士、孔繁文弁護士の代理により、米国ICON IP,INC(以下ICON社と称する)が済南易邦実業公司(以下易邦社と称する)を訴えた発明特許権案侵害事件において、再審の勝訴を収めた。
米国ICON HEALTH & FITNESSは世界最大の家庭用フィットネス器材製造販売会社の一つである。本社は米国ユタ州ローガン市にあり、その知財業務は傘下のICON社が管理する。
ICON社は、「枠組み無しベルト受台を有するトレッドミル装置」(特許番号「ZL02808814.X」)の発明特許を有する。当該特許の保護対象は弾力性のあるベルトを有するランニングマシーン製品である。
ICON社は、本件被告易邦社が上述特許権を侵害する疑いのあるランニングマシーン製品を生産、販売、販売許諾を行っていることを発見し、本件の対応を集佳に委託した。調査、証拠収集を経て、2011年始に、集佳は原告を代理し、易邦社及びその北京販売店を北京市第二中級裁判所に訴え、被告に侵害行為の停止、原告への経済損失及び合理な訴訟支出の賠償を命じるよう請求した。
第一審裁判所は原告の訴訟請求を支持し、第(2011)二中民初字第2919号民事判決書を下した。判決において、二被告による侵害製品の生産、販売、販売許諾行為は原告の特許権を侵害したと認定し、被告に侵害行為の停止、及び53万人民元の賠償を命じた。
被告の易邦社は第一審判決に不服し、北京市高級裁判所に上訴した。第二審裁判所は、特許権者が無効手続で特許請求範囲の一部を放棄したことを理由に、特許権者が均等侵害を主張する同時に、既に放棄した内容を保護範囲に入れることを禁止すべきであると判断し、訴えられた侵害製品は権利範囲に含まれないと認めた。その故、(2011)高民終字第4312号民事判決を以って第一審判決を取り消した。
第二審判決を受けて、集佳訴訟チームは李永波弁護士の下で、訴訟の状況について真剣に分析・検討を行い、第二審判決が事実認定と法律適用において誤りがあるとの結論に達し、当事人に再審申請を提案した。2012年8月、集佳はICON社を代理して最高裁に再審を申請した。2013年5月2日、最高人民法院は(2013)民申字第370号民事裁定を下し、本件の提審(確定判決に対し、上級裁判所は再審を行うこと)を定めた。
2014年9月16日、最高裁判所は(2013)民提字第112号民事判決書を下した。第二審判決が事実認定と法律適用に誤りがあると認め、1.北京市高級裁判所(2011)高民終字第4312号民事判決を取り消し、2.北京市第二中級裁判所(2011)二中民初字第2919号民事判決を維持すると判じた。
再審判決における技術特徴に対する最高裁の分析、対比方法は、今後の事件代理にとって重要な指導的役割がある。最高裁は本件係争特許の技術特徴「枠組み」の連結関係と機能の角度から、侵害製品の「弾力性枠組み」と本件特許背景技術の「剛性枠組み」を明確に区別したうえ、「枠組み」の構造、作用、変形方式などの面における緻密な分析を通じて、侵害製品の「弾力性枠組み」は実際に枠組みでなく、底板の一部に属し、本件特許の多層構造の底板に相当すると明確に認定した。これにより侵害製品の相応技術特徴は本件特許と同一であると認定した。
二つの技術特徴が同一であるかを判断するには、名称と表記の同一性のみならず、当該特徴が体現した構造、連接関係、機能と作用などの多角度から分析し、実際に同一であるか否かを判断すべきであることは、本件最高裁判決が示唆している。
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