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No.107 Jan.28, 2015
 
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北京の雍和宮
 
目 録
「専利権侵害をめぐる紛争事件の審理における法律適用に関する最高人民法院の若干規定」の改正に関する最高人民法院の決定
最高人民法院 知的財産権高級法院設立の検討を提案
最高人民法院第一巡回法廷は深圳市で始動 11類の事件を受理
2014年中国特許数が逆転上昇
「特許審査ハイウェイ(PPH)テストプロジェクト申込表」の更新に関する通知
集佳が米ワッツの図形商標「W」の商標権保護に成功
集佳が聖象グループの訴訟代理人に 最高人民法院から馳名商標の保護を再度獲得
「フェラーリ」は馳名商標認定を受け、区分を超えた保護を実現
 
 
 
「専利権侵害をめぐる紛争事件の審理における法律適用に関する最高人民法院の若干規定」の改正に関する最高人民法院の決定

 
 
中華人民共和国最高人民法院公告

 「専利権侵害をめぐる紛争事件の審理における法律適用に関する最高人民法院の若干規定の改正に関する最高人民法院の決定」は2015年1月19日、最高人民法院審判委員会第1641回会議にて可決された。ここに公布し、2015年2月1日から施行する。

 最高人民法院

 2015年1月29日

 最高人民法院(最高裁)審判委員会第1641回会議の決定により、「専利権侵害をめぐる紛争事件の審理における法律適用に関する最高人民法院の若干規定」について次のとおりに改正する。

 一.第5条第2項を次のとおり改める。

 権利侵害行為地は次を含む。発明専利(特許)権、実用新型専利(実用新案)権を侵害する製品の製造、使用、販売の申出、販売、輸入等の行為の実施地▽専利にかかる方法の使用行為の実施地▽当該専利にかかる方法により直接取得した製品の使用、販売申出、販売、輸入等の行為の実施地▽外観設計専利(意匠)にかかる製品の製造、販売申出、販売、輸入等の行為の実施地▽他人の専利の詐称行為の実施地▽前記の権利侵害行為の権利侵害の結果発生地

 二.第8条第1項を次のとおり改める。

 出願日が2009年10月1日以前(当日を含まない)の実用新型専利について提起された専利権侵害訴訟について、原告は、国務院専利行政部門が作成した検索報告書を提示することができる。出願日が2009年10月1日以後の実用新型専利または外観設計専利について提起された専利権侵害訴訟について、原告は、国務院専利行政部門が作成した専利権評価報告書を提示することができる。人民法院は、事件審理の必要に応じて、原告に検索報告書又は専利権評価報告書の提出を求めることができる。原告が正当な理由なくして提出しない場合、人民法院は、訴訟中止を裁定し、又は、発生し得る不利な結果の責任を原告に負担させる判決を下すことができる。

 三.第9条第1項を次のとおり改める。

 (一)原告が提示した検索報告書又は専利権評価報告書に、実用新型専利または外観設計専利が無効である事由を発見しない場合。

 四.第17条を次のとおり改める。

 専利法第59条第1項にいう「発明専利または実用新案専利の保護範囲は、その請求項の内容を基準とし、明細書と付属図は請求項の内容の解釈に用いることができる」とは、専利権の保護範囲が請求項に記載されたすべての技術的特徴により確定された範囲を基準としなければならないことをいう。また、当該技術的特徴と均等の特性によって確定された範囲も含まれる。

 均等な特徴とは、記載された技術的特徴とほぼ同一の手段により、ほぼ同一の機能を実現し、ほぼ同一の効果を奏するとともに、本領域の普通技術者が権利侵害で訴えられた行為の発生時に、創造的な労働を経ることなく連想できる特徴をいう。

 五.第18条を次のとおり改める。

 権利侵害行為が2001年7月1日以前に発生した場合、改正前の専利法の規定を適用して民事責任を確定する。2001年7月1日以後に発生した場合、改正後の専利法の規定を適用して民事責任を確定する。

 六.第19条を次のとおり改める。

 他人の専利を詐称した場合、人民法院は、専利法第63条の規定により、その民事責任を確定することができる。専利管理業務部門が行政処罰を下さない場合、人民法院は、民法通則第134条第3項の規定により民事制裁を下す場合、民事過料の額の適用にあたり、専利法第63条の規定に照らして確定することができる。

 七.第20条第1項を削除し、第2項を第1項とし、次のとおり改める。

 専利法第65条に定められた権利者が権利侵害によって受けた実際の損失は、専利権者の専利製品が権利侵害によってもたらされた減少した販売量の総数に専利製品1件あたりの合理的な利潤所得を乗じて得た金額とすることができる。権利者の減少した販売量の総数が確定できない場合、被疑侵害製品が市場において販売した総数に専利製品1件あたりの合理的な利潤所得を乗じて得た金額を、権利者が権利侵害によって受けた実際の損失とみなすことができる。

 また、第3項を第2項とし、次のとおり改める。

 専利法第65条に定められた権利侵害者が権利侵害によって取得した利益は、当該被疑侵害製品の市場における販売総数に被疑侵害製品1件あたりの合理的な利潤所得を乗じて得た金額とすることができる。権利侵害者が権利侵害によって取得した利益は、通常、権利侵害者の営業利益に基づいて算出する。権利侵害行為を完全に業とする権利侵害者については、販売利益に基づいて算出することができる。

 八.第21条を次のとおり改める。

 権利者の損失または権利侵害者が取得した利益の確定が困難で、参照可能な専利の使用許諾料がある場合、人民法院は、専利権の種類、権利侵害行為の性質及び経緯、専利使用許諾の性質、範囲、期間等の要素を考慮して、当該専利使用許諾料の倍数を参照して賠償額を合理的に確定することができる。参照できる専利使用許諾料がない場合、または専利使用許諾料が明かに合理的でない場合、人民法院は専利権の種類、権利侵害行為の性質及び情状などの要素に基づいて、専利法第65条第2項の規定に照らして賠償額を確定することができる。

 九.第22条を次のとおり改める。

 権利者が権利侵害行為を制止するための合理的な費用の支出を主張した場合、人民法院は、専利法第65条で定められる賠償額以外に別途費用を算出することができる。

 十.第24条を次のとおり改める。

 専利法第11条、第69条にいう販売の申出とは、広告、商店のショーウィンドーにおける陳列又は展示即売会での出展等の方法によって商品販売の意思表示を行うことをいう。

 この決定により、「専利権侵害をめぐる紛争事件の審理における法律適用に関する最高人民法院の若干規定」を改正し、改めて公布する。

 
 
最高人民法院 知的財産権高級法院設立の検討を提案

 
 
最高人民法院2014年12月26日の報告書には、国レベルの知的財産権高級法院を設立し、全国の特許事件の上訴管轄法院とし、審理時間を縮み、裁判標準を統一するという内容が盛り込まれた。これが知的財産権裁判方式改革の最新動向である。

 2014年6月、第十二期全国人民代表大会常務委員会第九回会議は、特許法執行検査報告を聴取・審議した。報告において特許分野における権利保護の難しさが指摘された。具体的には、「時間が長い」、「立証が難しい」、「コストが高い」など含まれた。これに対し最高人民法院は検討し、改善措置を提出した。

 すなわち、上記問題を解決するために、知的財産権裁判方式の改革を絶えずに深化しなければならない。現行の特許権侵害民事訴訟と特許権無効行政訴訟が並行しているプロセスのメリット及びデメリットを真剣に研究する必要がある。外国の関連経験を積極的に参考し、権利侵害訴訟を審理する法院は同時に特許権効力紛争を審理する可能性を検討する。現在、権利侵害訴訟を管轄する法院が各地に点在し、数が多く、上訴法院が統一されておらず、裁判基準の統一が確保できないといった問題に対して、国レベルの知的財産権高級法院を設立し、全国の特許事件の上訴管轄法院とすることを検討する。

 
 
最高人民法院第一巡回法廷は深圳市で始動 11類の事件を受理

 
 
最高人民法院第一巡回法廷は2015年1月28日に広東省深圳市で始動する。巡回区は広東、広西、海南三省になる。

 最高人民法院は同時に「巡回法廷の事件審理にかかる若干問題に関する最高人民法院の規定」を公布した。それによると、巡回法廷は最高人民法院が派出した常設裁判機関であり、巡回法廷が下した判決、裁定と決定は最高人民法院の判決、裁定と決定である。

 上記規定によると、最高人民法院第二巡回法廷は遼寧省瀋陽市に設立され、巡回区は遼寧、吉林、黒龍江である。規定は2015年2月1日から実施し、最高人民法院巡回法廷はその時から事件を受理・審理し始める。

 巡回法廷は巡回区内で最高人民法院より受理されるべきの事件を審理または処理する。全国範囲での重大で、複雑な第一審行政案件、全国で重大な影響を持つ第一審民商事案件、高級人民法院が下した第一審行政または民商事判决、裁定に不服し上訴を提起する事件、高級人民法院が下した法律効力を発生した行政または民商事判决、裁定、調停書に対し再審を申請する事件、刑事申訴事件、法定職権により再審を提起する事件、高級人民法院が下した科料、留置決定に不服し、復議を申請する事件、高級人民法院が管轄権問題で最高人民法院に裁定または決定を報告・申請する事件、高級人民法院の審理期限延長の許可を報告・申請する事件、香港、澳門、台湾に係わる民商事事件及び司法協力事件、最高人民法院が巡回法廷により審理すべくまたは処理すべくと認めるほかの事件を含む。

 知的財産権、渉外商事、海事、海商、死刑承認、国家賠償、執行事件及び最高人民検察院が行う控訴事件は、最高人民法院本部より審理または処理される。

 最高人民法院第一巡回法廷長は最高人民法院裁判委員会副部級専職委員、二級大法官劉貴祥で、第二巡回法廷長は最高人民法院裁判委員会副部級専職委員、二級大法官胡云騰である。

 
 
2014年中国特許数が逆転上昇

 

 国家知識産権局申長雨局長は近日、全国知識産権局長会議で2014年中国特許数が逆転上昇し、全体から言えば、数の面で増加し、質の面も高め、知的財産権事業はより一層進めたと述べた。

 2014年上半期、経済下降のプレシャーと特許出願補助政策調整などの原因で中国特許数の増加に変化が現れた。発明特許は高いスピードの伸びから中高速の伸びに変わった。意匠、実用新案の出願数は一時的に厳しい下落が現れた。しかし、それも中国知的財産権「数による配置、質による勝ち」という措置の実施結果である。

 最終の事実は、調整が中国特許数の再度上昇トレンドを妨げなかったことを物語る。データにより、2014年PCT国際特許出願受理数は前年より14.2%増えた。中国特許出願受理数において、発明特許申請受理数は前年より12.5%増えて世界一になった。 

 申長雨局長の話によると、2015年知的財産権業務は引き続き「スピードを調整しても勢いを保持、増量を伴う優質を実現」という原則に沿って知的財産権事業の発展を推進する。企業の有効な知的財産権配置を支援する。品質管理システムの確立を探索する。技術価値が高く、市場効益がよく、高い付加価値の特許の創出を促進する。知的財産権資本化、産業化の道を広く開拓する。社会資本による特許運営基金の設立を促進する。同時に、知的財産権を新しい国民経済計算体系に納めようと努力する。特許代理人資格試験の制度と方式を改革する。「職務発明条例」の早期制定を積極に推進する。「特許代理条例」の改正を加速させる。特許保護の「立証が難しい、周期が長い、コストが高い、賠償が低い、効果がよくない」といった顕著な問題を力を入れて解決する。

 
 
「特許審査ハイウェイ(PPH)テストプロジェクト申込表」の更新に関する通知

 

 申請人と代理人によいサービスを提供し、申請人と代理人にPPHテストの申込に便宜を図るために、中国国家知識産権局がPPHパートナー局と協力して「特許審査ハイウェ(PPH) テストプロジェクト申込表」の修正業務を完成した。事前の意見募集とシステムのテストを通じて、2015年1月1日から国家知的財産権局特許局で正式に新申込表を使用する。新申込表は元の「特許審査ハイウェイ(PPH)テストプロジェクト申込表」と元の「請求項対応表」に取って代わって使用される。関連記入説明はユーザーアプリの提示に参照する。

 
 
集佳が米ワッツの図形商標「W」の商標権保護に成功

 

 米ワッツウォーターテクノロジーズ(以下「ワッツ」)は1874年に創立された世界をリードする水道関連製品のメーカーおよびサービスプロバイダーで、業務用・家庭用水、水リサイクル装置および給排水装置、HVAC(暖房・換気・空調システム)ならびに給ガス装置、水質制御装置の4つの分野の製品を中心に手がけ、「バルブ規格の制定者」の誉れを持つ。ワッツ(上海)管理有限公司(以下、「ワッツ上海」)はワッツが中国国内に設立した完全子会社で、中国国内においてワッツの図形商標「W」などの登録商標使用の独占的な許諾を得ている。

 2013年8月、ワッツ上海は北京エリアのサプライヤーから、「ワッツの図形商標『W』のロゴが鋳造された半製品が北京北高閥門有限公司に大量流入しており、ワッツの商標権を侵害するバルブ製品を大量生産している可能性がある」との通報を受け、これについて第三者に調査を委託した。

 2014年5月、工商局の法執行部門に苦情を申し立て、北京北高閥門有限公司において法執行担当者の調査に同行した。しかし、権利者が行った商標の国際登録証明の申請が、商標局の商標システムのアップグレードの作業時間と重なったことにより、速やかに発行できなかったため、権利者は工商局に一般の形式的要件を満たす権利帰属の証拠の提供が困難となり、その結果、関連する行政機関の取り締まりの処分決定と権利侵害者に対する処罰が下せなくなった。

 2014年9月末、ワッツ上海は自社の権利を保護するため、北京市集佳法律事務所(以下「集佳」)に法院への訴訟提起の代理を正式に依頼した。集佳は速やかに、弁護士閻春徳、王荷舒および許燕妹で構成される案件グループを編成して処理を進め、商標局システム調整期間における法院の案件審理の遅延、工商局が差し押さえた製品および関連の証拠に対する取調べが困難といった課題の克服に努めた。

 2014年12月、一審法院(裁判所)は被告に権利侵害認定の判決を下し、ワッツの図形商標「W」の商標権が保護された。

 
 
集佳が聖象グループの訴訟代理人に 最高人民法院から馳名商標の保護を再度獲得

 

 2014年12月、集佳法律事務所(以下「集佳」)を訴訟代理人とする商標「全友」にかかる案件において、最高法院により「全友」が馳名商標に認定された後、集佳の張亜州弁護士、王荷舒弁護士が訴訟代理人として、聖象グループ有限公司が第三者により出願された第4362508号商標「聖象+SHENGXIANG」に対する商標異議申立復審に係わる行政訴訟において、最高人民法院に再審を請求した。最高人民法院(2014)行提字第28号判決により、次のとおり判決が下された。

 聖象グループが第19類「フローリング」商品で登録した引用商標「聖象および図」は被異議申立商標の出願日である2004年11月15日より前からすでに馳名の程度に達しており、被異議申立商標が使用を指定する第25類「衣服」商品とフローリング商品は類似商品に属さないとはいえ、引用商標は極めて高い顕著性と知名度を有するため、保護の強度を高めなければならず、旧商標法第13条第2項により、被異議申立商標の登録を認めず、北京市高級法院(高裁)、北京市第一中級法院(地裁)が下した判決および商標評審委員会による復審裁定を取り消す。

 【弁護士の見解】

 集佳が聖象集団の訴訟代理人として2013年に最高法院に請求した、商標権確定を求める行政訴訟をめぐる再審において、馳名の認定を受けた(当該事件は2013年の最高法院知的財産権の10大事件に選ばれている)。今回の判決は聖象集団が受けた、最高法院の再審による馳名認定の2件目の判決である。この事件において、商標評審委員会と一審法院はいずれも引用商標が被異議申立商標の出願日より前に馳名であったことを認定しなかった。一方で、二審法院は被異議申立商標の出願日より前に引用商標が馳名の程度に達していたと認定したものの、両商標には一定の違いがあり、商標の区分が大きく異なるため、消費者を誤認させることはないとして、一審法院の判決と商標評審委員会の決定を維持した。最高法院は再審の過程において、商標の類似判断にあたって保護を求める登録商標の顕著性と知名度を考慮しなければならないことを明確にし、さらに引用商標に極めて高い顕著性と知名度を備え、馳名の程度に達している場合、保護の強度を高めなければならないことを明確にした。

 この判決においてさらに注目すべき点は、最高法院が事件で明らかにされた事実を踏まえ、「馳名商標の保護にかかる民事紛争事件の審理における法律適用の若干問題に関する最高人民法院の解釈」第9条の規定(関連公衆が、係争商標と馳名商標にかなりの程度の関連性を有すると考えるに足り、馳名商標の顕著性を希釈化させて、馳名商標ののれんを毀損した、または馳名商標ののれんを不正に利用した場合、商標法第13条第2項「消費者を誤認させたことにより、当該馳名商標の登録者の利益が損害を受ける可能性がある」状況)を引用し、「第三者が出願した被異議申立商標の指定商品の区分が引用商標と類似しないとはいえ、第三者が『衣服』商品において被異議申立商標の登録を出願したことは依然として『フローリング』商品の引用商標に対する模倣であり、引用商標ののれんを不正に利用する主観的な故意があり、登録を許可した場合には、聖象集団の利益を損害するおそれがある」と認定したことにある。

 
 
「フェラーリ」は馳名商標認定を受け、区分を超えた保護を実現

 

 フェラーリは万民が周知の世界最高級のレーシングカーおよびスポーツカーのメーカーであり、傘下に「FERRARI」、「跳ね馬」図形、「『跳ね馬』図形+FERRARI」、「法拉利」、「法拉力」などの有名な商標を有する。フェラーリは国際市場において長きにわたって蓄積されたその固有の競争優位とのれんにより、ショールームでの展示、専門店の開設、記者会見の開催、寄贈セレモニー、F1レース開催などのさまざまな活動を展開することで、「FERRARI」、「法拉力」は中国を含めた世界市場で知られるようになった。

 長年にわたり、フェラーリは中国国内で自身の知的財産権の保護を粘り強く継続しており、常にその知的財産権を侵害する不法行為に目を光らせている。今回の事件において、北京のある企業は1997年6月18日に「眼鏡」などの商品について第1213129号商標「法拉利FALALI」を出願し、1998年10月7日に登録が許可された。しかし、「当該商標の登録出願は、フェラーリの「FERRARI」、「法拉力」というトップブランドの知名度に明らかに便乗するもので、フェラーリの先願利益を侵害する」として、フェラーリは前述の登録商標の取り消しを申し立てた。ただ、この登録商標を取り消すには2つの法のハードルを越えなければならなかった。

 (1)第1213129号商標「法拉利FALALI」の取り消しを求めた時点で、前述の登録商標は登録日から5年が経過している。2001年「商標法」第41条第3項によると、取り消しの争議については、被申立商標の登録日から5年以内に行わなければならず、被申立商標の登録者に主観的悪意があることを証明する証拠がなければ、このハードルは越えることはできず、当該申立ては前述の期間を過ぎているという理由で支持を得られない。

 (2)フェラーリの商標「法拉力」などを登録したのは第12類「自動車」などの商品が多いが、当該事件で取り消しを求める被申立商標について使用を指定する商品区分は第9類「眼鏡」であり、フェラーリが2001年「商標法」第14条により「法拉力」商標が被申立商標の出願日である1997年6月18日より前に馳名商標を構成していたことを立証できなければ、被申立商標は取り消されない。

 2009年7月24日、集佳はフェラーリの依頼を受け、第1213129号商標「法拉利FALALI」をめぐり、国家工商行政管理総局商標評審委員会(以下、「商標評審委員会」)に争議を申し立てた。この手続において、集佳は「FERRARI」、「法拉力」が中華人民共和国国内において消費者に普遍的に認知されていることを証明する大量の証拠を整理して提出し、フェラーリの「法拉利」、「法拉力」、「FERRARI」が一般の知名ブランドとは異なる特殊性、すなわち「それらはトップクラスの高級スポーツカーの「手作り」に注目するブランドであり、フェラーリは単にいいクルマを代表するだけなく、それ以上にスピード感・躍動感、先進的な技術の成果、傑出したデザイン感、高貴性、専属性を代表している」ことを存分にかつ詳細に説明した。また、集佳は登録者の悪意、消費者の誤認・混同を招く可能性についても十分な理論的説明と立証を行った。しかし残念なことに、商標評審委員会は次のとおり判断した。

 (1)フェラーリが争議を申し立てた時点で、被申立商標の出願日からすでに5年が経過している。

 (2)被申立商標の出願日である1997年6月18日より前において、フェラーリが馳名商標であったことを認定できない。

 (3)フェラーリの登録商標「法拉力」について使用を指定する「自動車」商品と被申立商標について使用を指定する「眼鏡」商品はかけ離れており、機能、用途、販売経路などがいずれも同一でない。

 したがって、商標評審委員会は、「被申立商標の登録は、フェラーリのいかなる先行権利をも侵害しない」と判断し、被申立商標の登録を維持する決定を下した。

 その後、集佳はフェラーリの訴訟代理人として北京市第一中級人民法院に行政訴訟を提起し、商標評審委員会の前述の決定を取り消し、被申立商標の登録を取り消すよう請求した。北京市第一中級人民法院は審理の結果、「案件の証拠から、フェラーリの「法拉力」商標は係争商標の出願日より前にすでに馳名の程度に達しているという事実状態を実証でき、この知名度に基づき、登録商標『法拉力』の禁止権の範囲を第9類の『眼鏡』などの商品まで拡大することができる」と判断し、最終的に、「被申立商標は取り消されるべきである」と認定した。これにより、商標評審委員会の前述の裁決を取り消す判決が下された。

 【弁護士の見解】

 多くの著名ブランドにとって、同一商標または類似商標が関連する商品区分または関連しない商品区分において登録された場合、消費者の誤認・混同を招くだけでなく、さらには自らの事業内容の多様化が阻害され得る。海外ですでに名を知られ、中国市場への進出を計画するブランドにとってはなおさら妨害となる。このような争議を減らし、防ぐには、一方で、商標権者が自らの事業と市場に対して先見の明を持つことが求められる。また一方で、知的財産権事件を取り扱う弁護士が権利者の各々の関連事件について戦略的にかつ多方面から分析し、掌握するとともに、商標を扱う行政および司法部門が真に事実に適合した判断を下し、商標の管理の秩序と信義誠実の原則による保護の間で当事者間の利益均衡を図ることが求められる。