中華人民共和国最高人民法院公告
「専利権侵害をめぐる紛争事件の審理における法律適用に関する最高人民法院の若干規定の改正に関する最高人民法院の決定」は2015年1月19日、最高人民法院審判委員会第1641回会議にて可決された。ここに公布し、2015年2月1日から施行する。
最高人民法院
2015年1月29日
最高人民法院(最高裁)審判委員会第1641回会議の決定により、「専利権侵害をめぐる紛争事件の審理における法律適用に関する最高人民法院の若干規定」について次のとおりに改正する。
一.第5条第2項を次のとおり改める。
権利侵害行為地は次を含む。発明専利(特許)権、実用新型専利(実用新案)権を侵害する製品の製造、使用、販売の申出、販売、輸入等の行為の実施地▽専利にかかる方法の使用行為の実施地▽当該専利にかかる方法により直接取得した製品の使用、販売申出、販売、輸入等の行為の実施地▽外観設計専利(意匠)にかかる製品の製造、販売申出、販売、輸入等の行為の実施地▽他人の専利の詐称行為の実施地▽前記の権利侵害行為の権利侵害の結果発生地
二.第8条第1項を次のとおり改める。
出願日が2009年10月1日以前(当日を含まない)の実用新型専利について提起された専利権侵害訴訟について、原告は、国務院専利行政部門が作成した検索報告書を提示することができる。出願日が2009年10月1日以後の実用新型専利または外観設計専利について提起された専利権侵害訴訟について、原告は、国務院専利行政部門が作成した専利権評価報告書を提示することができる。人民法院は、事件審理の必要に応じて、原告に検索報告書又は専利権評価報告書の提出を求めることができる。原告が正当な理由なくして提出しない場合、人民法院は、訴訟中止を裁定し、又は、発生し得る不利な結果の責任を原告に負担させる判決を下すことができる。
三.第9条第1項を次のとおり改める。
(一)原告が提示した検索報告書又は専利権評価報告書に、実用新型専利または外観設計専利が無効である事由を発見しない場合。
四.第17条を次のとおり改める。
専利法第59条第1項にいう「発明専利または実用新案専利の保護範囲は、その請求項の内容を基準とし、明細書と付属図は請求項の内容の解釈に用いることができる」とは、専利権の保護範囲が請求項に記載されたすべての技術的特徴により確定された範囲を基準としなければならないことをいう。また、当該技術的特徴と均等の特性によって確定された範囲も含まれる。
均等な特徴とは、記載された技術的特徴とほぼ同一の手段により、ほぼ同一の機能を実現し、ほぼ同一の効果を奏するとともに、本領域の普通技術者が権利侵害で訴えられた行為の発生時に、創造的な労働を経ることなく連想できる特徴をいう。
五.第18条を次のとおり改める。
権利侵害行為が2001年7月1日以前に発生した場合、改正前の専利法の規定を適用して民事責任を確定する。2001年7月1日以後に発生した場合、改正後の専利法の規定を適用して民事責任を確定する。
六.第19条を次のとおり改める。
他人の専利を詐称した場合、人民法院は、専利法第63条の規定により、その民事責任を確定することができる。専利管理業務部門が行政処罰を下さない場合、人民法院は、民法通則第134条第3項の規定により民事制裁を下す場合、民事過料の額の適用にあたり、専利法第63条の規定に照らして確定することができる。
七.第20条第1項を削除し、第2項を第1項とし、次のとおり改める。
専利法第65条に定められた権利者が権利侵害によって受けた実際の損失は、専利権者の専利製品が権利侵害によってもたらされた減少した販売量の総数に専利製品1件あたりの合理的な利潤所得を乗じて得た金額とすることができる。権利者の減少した販売量の総数が確定できない場合、被疑侵害製品が市場において販売した総数に専利製品1件あたりの合理的な利潤所得を乗じて得た金額を、権利者が権利侵害によって受けた実際の損失とみなすことができる。
また、第3項を第2項とし、次のとおり改める。
専利法第65条に定められた権利侵害者が権利侵害によって取得した利益は、当該被疑侵害製品の市場における販売総数に被疑侵害製品1件あたりの合理的な利潤所得を乗じて得た金額とすることができる。権利侵害者が権利侵害によって取得した利益は、通常、権利侵害者の営業利益に基づいて算出する。権利侵害行為を完全に業とする権利侵害者については、販売利益に基づいて算出することができる。
八.第21条を次のとおり改める。
権利者の損失または権利侵害者が取得した利益の確定が困難で、参照可能な専利の使用許諾料がある場合、人民法院は、専利権の種類、権利侵害行為の性質及び経緯、専利使用許諾の性質、範囲、期間等の要素を考慮して、当該専利使用許諾料の倍数を参照して賠償額を合理的に確定することができる。参照できる専利使用許諾料がない場合、または専利使用許諾料が明かに合理的でない場合、人民法院は専利権の種類、権利侵害行為の性質及び情状などの要素に基づいて、専利法第65条第2項の規定に照らして賠償額を確定することができる。
九.第22条を次のとおり改める。
権利者が権利侵害行為を制止するための合理的な費用の支出を主張した場合、人民法院は、専利法第65条で定められる賠償額以外に別途費用を算出することができる。
十.第24条を次のとおり改める。
専利法第11条、第69条にいう販売の申出とは、広告、商店のショーウィンドーにおける陳列又は展示即売会での出展等の方法によって商品販売の意思表示を行うことをいう。
この決定により、「専利権侵害をめぐる紛争事件の審理における法律適用に関する最高人民法院の若干規定」を改正し、改めて公布する。 |