12月8日に、北京知識産権法院は法により次の判決を下した。被告の恒宝股份有限公司は原告の北京握奇数据系統有限公司の第ZL200510105502.1号「物理的認証方法および電子装置」の特許権を侵害する係争行為を即刻停止する。被告の恒宝股份有限公司は原告の北京握奇数据系統有限公司の経済的損失4,900万元を賠償し、被告の恒宝股份有限公司は原告の北京握奇数据系統有限公司の訴訟に関する合理的な支出100万元を賠償する。
原告の北京握奇数据系統有限公司(以下、「握奇公司」)と被告の恒宝股份有限公司(以下、「恒宝公司」)はいずれも金融分野向けのインテリジェント暗号鍵製品を生産する企業である。原告はZL200510105502.1「物理的認証方法および電子装置」の特許権を所有している。
原告の握奇公司は、被告の恒宝公司が製造し、全国数十行の銀行に販売する複数品番のUSBKey製品および被告が同侵害製品を使用し、ネット銀行で振替手続時に使用する物理的認証方法がいずれも原告の特許権の保護範囲に該当し、原告の特許権に対する侵害を構成することを発見した。
原告は2015年2月26日、被告に侵害行為の停止、原告の経済的損失4,900万元の賠償、および訴訟に関する合理的な支出100万元の賠償を命じる判決を求め、北京知識産権法院に本件訴訟を提起した。
合議体の見解は次のとおりである。北京知識産権法院合議体は審理を経て、被告の恒宝公司が製造、販売する係争USBKey製品および被告が同侵害製品を使用し、ネット銀行で振替手続時に使用する物理的認証方法がいずれも原告の特許の保護範囲に該当し、被告の上述の行為が原告の特許権の侵害を構成することを認定する。侵害の損害賠償額および弁護士費用の賠償額の認定に係る基本的な規則の審理に際し、北京知識産権法院審判委員会は検討を経て次のように決定する。
1.本案は被疑侵害製品の実際の販売数に専利製品1個当たりの合理的な利益を乗じる方法により侵害の賠償額を計算する。
2.被告が渤海銀行、浙江農村信用社(合作銀行)、湖北銀行に被疑侵害製品を販売することで獲得した利益の提供を拒絶したことを踏まえ、原告が提出した合理的主張は成立すると推定できる。
3.弁護士事務所が採用した時間制報酬の方式は本件訴訟の合理的な支出である弁護士費用の計算基準とすることができる。原告が主張する弁護士費用が合理的であるか否かについては、事件の代理の必要性、事件の難易度、弁護士の実際の支出額などの要素に基づいて認定しなければならない。
北京知識産権法院は原告の4,900万元の損害賠償請求を全額支持したが、これは北京知識産権法院の創立以来、認めた賠償金額における最高額である。
原告が提出した100万元の弁護士費用の賠償請求について、北京知識産権法院の見解は次のとおりである。原告が本案において採用した弁護士事務所の時間制報酬方式は現在の弁護士業界で一般的に採用されている費用徴収方式の1つであり、法律の規定に違反しておらず、訴訟に関する合理的な支出である弁護士費用の計算根拠とすることができる。法院が判決文の中で弁護士費用の計算について時間制報酬方式を採用したのは初めてである。原告が時間制報酬方式に基づいて計算した100万元の弁護士費用が合理的であるか否かについて、北京知識産権法院は事件の代理の必要性、事件の難度、弁護士の実際の支出額などの要素から考慮した結果、原告が提出した100万元の弁護士費用の賠償請求が合理的であると認定し、全額支持した。弁護士費用の賠償請求が合理的であるか否かについて審査する際、法院は初めて「代理の必要性、事件の難度、弁護士の実際の支出額」を審査の原則とすることを確認した。
|