2016年10月、広東省高級人民法院(以下広東高院)は、深セン邁瑞生物医療電子股份有限公司(以下「邁瑞生物」)と深セン市理邦精密儀器股份有限公司(以下「理邦儀器」)の間で争われた最後に残った2件の特許権侵害事件と1件の営業秘密侵害事件について最終判決を言い渡し、両社間の知的財産権に関する熾烈な戦いはようやく幕引きとなった。法院が最終判決を言い渡した12案件はすべて邁瑞生物が勝訴し、獲得した賠償金は2,800万元余りに上った。
2011年4月から、邁瑞生物は理邦儀器に対し、23件の特許権侵害と1件の営業秘密侵害に関する訴訟を次々と提起し、賠償請求金額は1億元余りに上った。邁瑞生物は、理邦儀器が生産した複数種の型番のモニターおよび超音波映像装置が、自社の特許権を侵害していると主張し、特許権侵害については6,500万元余り、営業秘密侵害については4,100万元余りの損害賠償を請求した。
調べによると、邁瑞生物は中国において医療機器の研究開発、製造、販売を一体化した企業で、2015年の全世界の販売額は100億元近くに上り、同社の製品は全世界190以上の国・地域に向けて販売されている。モニターやカラー超音波機器などの分野において、同社は外国企業の技術の囲い込みを打ち破っている。そのうち、モニター製品の国内市場占有率は、ゼネラル・エレクトリック(GE)、フィリップスといった国際大手企業を上回り、11年連続でトップに立っている。
知るところによると、両社は長きにわたる提携パートナーであったが、理邦儀器が業務範囲を拡大し続け、邁瑞生物の独自の市場に進撃してきたことで反目し、双方の知的財産権に関する紛争が勃発することとなった。
2016年10月、広東省高級人民法院は、他の10件の特許権侵害事件と1件の営業秘密侵害事件について、相次いで最終判決を言い渡し、理邦儀器に権利侵害の即時停止、即ち事件に関連する製品の生産停止のほか、邁瑞生物に対する計約2,700万元の経済的損失の賠償を命じ、そのうちの特許権侵害の10案件については1,500万元余りの賠償を、営業秘密侵害の1案件については1,200万元余りの賠償を命じた。
こうして、邁瑞生物と理邦儀器の間で5年あまり続いた、知的財産権に関する熾烈な戦いは、ようやく幕引きとなった。
【典型事例の意義】
知的財産権は、中国国内医療機器企業である両社の優劣を決める武器となり、実力の勝る邁瑞生物が勝訴を勝ち取った結果となった。この事件から見てとれることは、近年、中国の司法機関の知的財産権侵害行為に対する処罰がますます強化され、賠償額も高額になっているという点である。これを前提とし、権利侵害者は必然的に、技術開発により力を注ぐか、権利者に実施料を支払うか、いずれかの利害をはかりにかけることになる。
|