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No.53 Jul.28, 2009
 
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青海湖
 
目 録
集佳の李徳山博士による『最高人民法院による特許権侵害紛争案件審理における法律適用の若干問題についての解釈』に対する短評
中国、知的財産権評価に関する2つの新準則を7月から正式に施行
国家知識財産局、《審査指南(意見募集稿)》に関する意見を公開募集
中国最高人民法院、特許、商標などの権利付与、権利確定をめぐる案件の審理業務分担に関する新たな規定を発布
中英両言語の中国知的財産権法律検索システムが北京で開通
 
 
 
集佳の李徳山博士による『最高人民法院による特許権侵害紛争案件審理における法律適用の若干問題についての解釈』に対する短評

 
 2009年6月18日、最高人民法院は『特許権侵害紛争案件審理における法律適用の若干問題についての解釈』を対外的に公布し、6月18日から7月10日まで、意見の公開募集を行った。当解釈の発表は、特許権侵害紛争の審理における空白を埋めるものとして大きな期待が寄せられた。同解釈の公布はちょうど『国家知的財産権戦略要綱』の施行1周年にあたることと、『専利法』第3次改正案が来る10月1日に正式に施行される見込みであることから、一部の関係者からは「画期的な司法解釈だ」と見られている。また、多くの問題や困難にぶつかることになるであろう、と予測する見方まで出ている。

 6月30日、集佳の副所長である李徳山博士が、人民ネットの知的財産権チャンネル及び「中国知的財産権」誌の招きに応じて「人民ネットIPサロン」に参加した際、今回の『解釈』における「請求項の保護範囲」などの問題について、自身の観点を述べた。

 李徳山博士:『解釈』が 「請求項の保護範囲」に関する問題を解決

 今回最高人民法院が公布した『解釈意見募集稿』の第1条から第8条までは、いずれも詳細な規定により「請求項の保護範囲」という非常に重要な問題を解決しようとしている。

 弁護士として、今回の『解釈意見募集稿』で「請求項の保護範囲」という問題がこのように重視されていることを嬉しく思う。わが国の新『専利法』第59条では、「請求項の保護範囲」に関して、非常に原則的な規定がなされている。その内容は、発明と実用新案技術特許権の保護範囲は、その請求項の内容を基準とし、明細書や図面は請求項の内容解釈に用いることができる、というものである。2001年の司法解釈の第17条では、請求項の保護範囲は、均等の技術的特徴がカバーする範囲にまで拡大されたが、この二条しかなく、非常に少ない。我々は弁護士としての立場から、特許権侵害案件が予測できるものであることを望んでいる。それが予測できるものであるためには、裁判官が請求項解釈における根拠となるような、非常に系統立った明確な規定がなければならない。今回の『解釈意見募集稿』は、この面で比較的よくできていると言える。

 李徳山博士:第2条の「应当(しなければならない)」を評価

 第2条の意味するところは、請求項を解釈する際、当業者が明細書や図面を見て理解できる請求項の内容によって保護範囲を明確にしなければならないということである。ここで使われている「しなければならない」と、『専利法』での「可以(することができる)」とは別物であり、この規定は現実的な意味を持ったものだと言える。私は、司法解釈第2条の「しなければならない」が正確な観点であるべきだと考える。いかなる状況下においても、請求項の保護範囲を解釈する際には、明細書と図面を参考にすべきである。なぜなら特許とは技術に関連するものであり、技術とは相当複雑なものであるが、言葉での表現力には限界があるからである。

 李徳山博士:解釈の第3条と第2条にはやや矛盾あり

 同条では、仮に請求項にある用語が不明確である場合、まずは明細書、図面、特許請求の範囲、包袋資料を参照し、それでも不明確な場合には、当業者が理解できる通常の意味で解釈すると規定している。つまり、当業者が理解できる通常の意味と、明細書を読んで理解できる意味とが一致しない場合は、明細書に書かれている意味を基準とするということである。しかし第2条では、当業者が理解できる請求項の内容と請求項の意味が異なる場合には、当業者が理解できる内容を基準とするとしており、両者は矛盾している。第3条の規定が正確であろう。

 注釈:

 第2条 人民法院は、当業者が明細書及び図面等を読んで理解する請求項の内容により発明または実用新案特許の保護範囲を確定しなければならない。当業者が理解する請求項の内容と請求項の用語の含意が異なる場合、当業者の理解する請求項の内容により特許権の保護範囲を確定する。

 特許権の保護範囲は特許の発明の目的と符合しなければならず、特許が克服しようとする従来技術の欠陥または技術方案の不足を含めてはならない。

 第3条 人民法院は、明細書及び図面、特許請求の範囲の中のその他の請求項、請求項を解釈した包袋資料の関連内容を運用することができ、明細書に請求項の用語に対する特別な定義がある場合、当該特別な定義を請求項の用語の含意とする。上述の方法を運用してもなお請求項の用語の含意を確定できない場合、参考書、教科書等の公知の文書と当業者が理解する通常の含意を組み合わせて解釈することができる。

李徳山博士
特許弁理士 弁護士
deshan.li@unitalen.com
 
 
 
中国、知的財産権評価に関する2つの新準則を7月から正式に施行

 
 知的財産権資産評価に関する2つの新準則——《資産評価準則——無形資産》及び《特許資産評価指導意見》が、7月から正式に施行される。

 《資産評価準則——無形資産》では無形資産の意味を科学的に定義している。それは特許権·商標権·著作権·専有技術·販売ネットワーク·顧客·特許経営権·契約権益などの識別可能な無形資産や、のれんなどの識別不可能な無形資産を含んだものであり、また、販売ネットワーク·顧客などの新型無形資産も範囲に含めるとしている。《特許資産評価指導意見》は《資産評価準則——無形資産》に基づいたもので、特許資産評価の対象は特許所有権及び使用権を含む特許資産権益である旨を明確にしており、現行の資産評価法律·法規体系·準則の空白を埋めるものである。また、特許資産評価の操作要求と公開要求を、つぶさに明確にしている。

 
 
国家知識財産局、《審査指南(意見募集稿)》に関する意見を公開募集

 
 《中華人民共和国特許法》(略称:特許法)の第三次改正に合わせて、国家知識産権局は2006年版の《審査指南》の修訂を行い、《審査指南(意見募集稿)》を作成した。今回の《審査指南》修訂が、新特許法及びその実施条例の改正内容の具現化、特許審査過程の改善と合理化、特許審査基準の統一を実現し、これによる特許審査業務の更なる効率化を可能とするために、近々、意見の公開募集を行う。
 
 
中国最高人民法院、特許、商標などの権利付与、権利確定をめぐる案件の審理業務分担に関する新たな規定を発布

 
 最高人民法院は、先日、《特許、商標などの権利付与、権利確定をめぐる知的財産権行政案件の審理業務分担に関する規定》(以下《規定》と略称)を印刷公布した。《規定》は、今年7月1日から、特許、商標、集積回路設計、植物新品種などの権利付与、権利確定をめぐる知的財産権一審、二審案件については、北京市中級人民法院?北京市高級人民法院及び最高人民法院知的財産権審査法廷での審理を要求している。

 《規定》はまた、特許行政部門の特許再審委員会が特許の再審決定及び無効裁決を下した案件、または当事者が人民法院の下した有効判決もしくは裁定を不服とし、上級の人民法院に再審を申請した案件については、上級の人民法院の知的財産権審査法廷が再審及び審理の責任を負うことを要求している。最高人民法院が2002年5月21日に公布した《特許法、商標法改正後の特許、商標関連案件の業務分担問題に関する返答》は、当規定の公布と同時に廃止される。

 
 
中英両言語の中国知的財産権法律検索システムが北京で開通

 
 中国知的財産権法律検索システムが、09年7月9日、北京大学で開通した。中国商務部、在中国EU代表団の幹部及び北京大学の研究者が開通式に参加した。

 同法律検索システムは、中国?EU知的財産権プロジェクト(二期)と中国国際電子商務センターが共同で勧めてきた事業協力により実現した、無料の検索ツールであり情報源である。同システムの開通により、国内企業が知的財産権法律情報を検索する際に便利になっただけでなく、中国に進出している外資企業が中国の知的財産権法律保護の現状を知る窓口ともなっており、これによって、対中貿易の情報サービスを提供し、財産権を保護している。

 調査によると、中国知的財産権法律検索システムは中英両言語を採用しており、140部余りの、英文版を含む中国法律文書を収録している。その中には法律法規、部門規定、司法解釈などの内容が含まれており、知的財産権の主要分野が網羅されている。特許法、商標法、著作権法、行政法及び行政訴訟法、独占禁止法及び民法、刑法など知的財産権保護分野に関する法規が対象である。