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No.59 Jan.28, 2010
 
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江西廬山
 
目 録
中国最高人民法院、司法解釈を公布し特許権の保護を強化
権利侵害責任法の可決、知的財産権の権利侵害被害者を様々な方法で救済保護
2009年、中国が受理した特許出願件数が97万件を超える
2010年、中国は引き続き商標戦略の実施を推進
中国、知的財産権法執行を強化し万博を“保護航行”
集佳、シンガポール東地物産私人有限公司の権利維持支援に成功
集佳が代理した永康市拓天科技有限公司の実用新案特許権の侵害訴訟で勝訴
 
 
 
中国最高人民法院、司法解釈を公布し特許権の保護を強化

 
 2009年12月28日、中国最高人民法院は『特許権侵害をめぐる扮争案件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈』を公布した。この合計20条からなる司法解釈の主旨は、立法趣旨に則り、中国の国情に充分に沿い、特許権侵害の紛争案件を適切に処理するとともに、法に則り当事者の合法的権益を保護することにより、自主革新と科学技術の進歩を奨励することにある。本司法解釈はすでに2010年1月1日から施行されている。

 最高人民法院によると、本司法解釈は、特許権利侵害裁判に関わる主な法律の適用の問題に言及されており、その内容には、発明、実用新案特許権の保護範囲の確定、権利侵害の判断原則、意匠の特許権侵害の判断原則、公知技術の抗弁、先使用の抗弁の適用、非侵害確認訴訟の受理確認等が含まれる。

 
 
権利侵害責任法の可決、知的財産権の権利侵害被害者を様々な方法で救済保護

 
 12月26日、中華人民共和国第11回全国人民代表大会常務委員会第12次会議で、『中華人民共和国権利侵害責任法』を審議可決し、2010年7月1日から施行する運びとなった。その法律は、著作権、特許権、商標専用権等の民事権益としての構成部分を民事主体の合法権益の保護の範囲内に組み入れるよう規定する。今回公布された権利侵害責任法において、権利侵害責任の負担方式には、主に以下の方法があることが明確に規定されている。即ち、侵害の停止、障碍の排除、危険の除去、財産の返済、原状回復、損害賠償、謝罪表明と影響の除去、名誉回復である。全人大法工委員会の王勝明副主任は、権利侵害責任法は知的財産権に関する法律の補充と改善であり、知的財産権の侵害行為が起こった場合には、まず優先的に知的財産権に関する法律を適用し、権利侵害責任法は補足として参考にする、と説明する。

 本権利侵害責任法は、この他にも知的財産権の侵害行為の免責事項と責任形式等に関する内容にも言及する。

 権利侵害責任法第36条では、それぞれインターネットユーザーとインターネットサービス提供者の権利侵害責任の形式と負担の遂行につき言及していることは画期的であり、進歩ということができるだろう。第36条では、インターネットユーザーとインターネットサービス提供者はインターネットを利用して他人の民事権益を侵害した場合、権利侵害責任を負わねばならないと規定する。同時に両者の責任形式を明確にしている。即ち、「インターネットユーザーがインターネットサービスを利用して権利侵害行為を実施した場合、被権利侵害者は、インターネットサービス提供者にリンクの削除、封印、切断等の必要措置を取るよう通知する権利を有する。インターネットサービス提供者は通知を受け取った後、速やかに必要措置を取らなかった場合、損害の拡大部分に対してインターネットユーザーと連帯責任を負う。インターネットサービス提供者はインターネットユーザーがそのインターネットサービスを利用して他人の民事権益を侵害していることを知りながら必要な措置を取らなかった場合、そのインターネットユーザーと連帯責任を負う。」と規定する。

 
 
2009年、中国が受理した特許出願件数が97万件を超える

 
 中国国家知識産権局の最新統計データを見ると、2009年中国では特許出願を合計976,686件受理し、対前年比で17.9%増加した。その内、中国国内の出願受理は877,611件で、全体の89.9%を占め、対前年比で22.4%の増加、外国からの出願は99,075件で、全体の10.1%を占め、対前年比で10.9%の減少となった。

 2009年、中国は特許を合計581,992件付与し、対前年比で41.2%の増加、その内、国内の付与は501,786件で、全体の86.2%を占め、対前年比で42.4%の増加であった。また海外は80,206件を付与、全体の13.8%を占め、対前年比で34.6%の増加、付与された国内特許の内、発明特許は65,391件で、13%を占め、対前年比で40.4%の増加であった。付与された外国特許の内、発明特許は63,098件で、78.7%を占め、対前年比で33.9%の増加を示している。

 国家知識産権局の専門家は、2009年、中国における特許出願と付与は、主として次のような特徴を示すと指摘する。一つは、特許の出願件数が増加を続け、構造調整の中にあっても安定した上昇を示していることである。この一年、特許出願件数の増加率は17.9%に達し、良好な増加傾向を維持している。二つ目に、中国国内の特許出願と付与の構造にはっきりとした改善が見られた。2009年、国内企業の出願が国内出願総件数が44.9%を占め、前年比で3.7%の増加となった。これは企業の革新主体の地位が強化し続けていることを示しているといえる。また国内発明特許付与件数が初めて外国の発明特許付与件数を超え、発明特許権付与の国内比率が対前年比で1.2%増加し、50.9%に達し、初めて海外の占める比率を超えた。三つ目には、特許付与件数が大幅な増加を示し、審査認可能力が画期的な向上を示した。2009年、中国の特許付与件数は58万件を超え、対前年比で41.2%の増加となった。その内、国内の発明特許付与件数は対前年比で40.4%増加し、累計で特許付与総件数は、300万件を突破した。

 
 
2010年、中国は引き続き商標戦略の実施を推進

 
 2010年、中国は引き続き商標戦略の実施を推進する。『国家工商行政管理総局による商標業務を国際水準にまで引き上げる計画(2008年から2012年まで)』が公布されて以来、商標業務の十項目に注目が注がれている。

 2009年9月、中国商標登録出願審査件数は百万の大台を突破し、商標登録出願件数、審査件数、有効登録件数ともに世界一となった。2009年10月、中国はマドリッドプロトコルへの加盟20周年を迎え、中国が受理した商標国際登録領土拡張出願件数が4年連続でマドリッドプロトコルの加盟国中トップとなった。また国内企業や個人の商標国際登録出願件数も4年連続でマドリッドプロトコル加盟国中8位となり、発展途上国の中ではトップとなった。このように2009年中国の商標業務においては、一連の成果があったといえる。

 2010年、中国は引き続き商標戦略の実施を推進する。『国家工商行政管理総局による商標業務を国際水準にまで引き上げる計画(2008年から2012年まで)』が公布され、2010年の商標業務には以下の特徴が見られる。即ち、商標立法の更なる改善;商標審査期間の1年以内への短縮;山積み商標異議案件の解決見込み;万博ロゴの重点的商標保護;農産品商標と地理的表示の登録件数増;著名商標の模倣品製造訴訟の抑制;商標代理市場の更なる規範化;商標情報化の加速推進である。

 
 
中国、知的財産権法執行を強化し万博を“保護航行”

 
 2010年の上海万博が近づくにつれ、知的財産権の侵害案件が勢いを増している。中国国家知識産権局の甘紹寧副局長は、これに対して、着実に万博の知的財産権の法執行の強化が万博の開催成功の重要な鍵であり、中国政府の威信をかけた約束でもあるとする。

 上海万博局はこれまでにすでに国家工商総局商標局に61件の万博マークを報告記録し、税関総署に56件の万博マークを報告記録している。合計45の商品やサービスの類別商標登録を完全にカバーし、キャラクターグッズに対して全ての類別商標登録を出願した。上海万博のロゴ·デザインはアメリカ、日本、韓国、オーストラリア、ドイツ、フランス、香港、マカオ等39ヶ国と地域で商標国際登録を出願し、“万博”の特殊マークを登録した。

 2009年10月までに上海万博局は、一般市民から万博マークの使用申請や報告記録を257件受理し、その内80%の申請が許可された。

 
 
集佳、シンガポール東地物産私人有限公司の権利維持支援に成功

 
 シンガポール東地物産私人有限公司(EASTLAND PRODUCE PTE LTD)と浙江省鑫星ゴム有限公司の国際ゴム売買契約に関する紛争案件において、シンガポール商品取引き所(SICOM)の仲裁採決を経て第5/2009号の仲裁裁決が下された。裁決では、浙江省鑫星ゴム有限公司からシンガポール東地物産私人有限公司に対して、合計350万人民元の商品代金及び違約金などの支払いが命じられた。シンガポール東地物産私人有限公司は、北京市集佳弁護士事務所に中国における仲裁裁決の承認と実施事項の遂行を依頼した。

 『国連、外国仲裁採決の承認及び執行に関する条約』(即ち、『1958年ニューヨーク条約』)、ならびに中国の『最高人民法院による中国の加盟する〈外国仲裁裁決の承認及び執行に関する条約〉の実施に関する通知』の規定に則り、2009年7月、北京市集佳弁護士事務所の桂慶凱と景灿の両弁護士は、シンガポール東地物産私人有限公司の依頼を受け、浙江省台州市中級人民法院に「外国仲裁裁決の承認」を申請した。外国の仲裁裁決を中国の裁判所において承認を得るため、北京市集佳弁護士事務所の桂慶凱と景灿の両弁護士は詳細な分析を経て、クライアントに大量の証拠収集と整理作業を指導し、最終的に400ページ、数十部にも及ぶ公証認証付の証拠書類を法廷に提出した。2009年9月、本件は浙江省台州市中級人民法院で審理された結果、2009年10月浙江省台州市中級人民法院は、「(2009)浙台仲確字第4号」『民事裁定書』を作成し、シンガポール商品交易所(SICOM)の第5/2009号仲裁裁決書の効力を認めた。

 被申請人である浙江省鑫星ゴム有限公司が有効である裁定を自主的に履行しなかったため、2009年11月、北京市集佳弁護士事務所は、更にクライアントの依頼を受け、浙江省台州市中級人民法院に強制執行を申請し、現在、本件は既に終結を見ている。仲裁申請人のシンガポール東地物産私人有限公司の権益は、本件において充分に実現されることとなった。

 
 
集佳が代理した永康市拓天科技有限公司の実用新案特許権の侵害訴訟で勝訴

 
 先日、田山·維世達電器有限公司と永康市拓天科技有限公司の実用新案特許権の侵害訴訟が、北京市第二中級人民法院で結審し、裁判所は田山?維世達電器有限公司の訴訟請求を却下し、被告永康市拓天科技有限公司に対して訴訟請求した特許権の侵害は成立しないという判決が下された。集佳弁護士事務所の梁勇弁護士が代理した永康市拓天科技有限公司が本件で勝訴を収めた。

 原告である田山·維世達電器有限公司は、その研究開発するロボット炒め機が2005年2月2日に特許権を得ているが、2009年に被告永康市拓天科技有限公司が許可なく、その実用新案特許技術を使い、ロボット自動炒め機“美食美客”を製造、本製品を「第八回中国礼品、贈答品、家庭用品展示会」で展示即売するとともに、デパートで販売しているのを発見したという。原告は、被告が原告の許可なしに勝手に製造、使用、販売し、原告の特許製品の販売を許諾する行為は、その特許権を侵害する行為であるとして、永康市拓天科技有限公司を裁判所に訴えた。

 本件における被告永康市拓天科技有限公司の代理弁護士として、集佳の梁勇弁護士は、関連証拠書類を収集後、被権利侵害製品が、原告の特許権の保護範囲には入っておらず、相対的に言って自由公知に近い技術であり、被告は原告の特許権を犯していないという結論に達した。また原告も被権利侵害製品の実際の販売行為の証拠を提出して証明しなかったため、原告の主張する100万人民元の賠償請求には、何ら事実及び法的根拠がないと主張し、裁判所に原告の訴訟請求を棄却するよう求めた。

 裁判所は審理を経て、被告は被権利侵害製品の「ロボット自動炒め機」を製造販売したが、審査を経て被権利侵害製品と本件に関わる特許技術を比べると、必要な技術的特徴が1つ欠落しているほか、関連する必要な技術も異なるため、被告永康市拓天科技有限公司の権利侵害は成立しないと判定し、最終的に原告田山?維世達電器有限公司の訴訟請求を退けた。