世界知的所有権の日の到来を前に、北京市高級人民法院は、2009年知的財産権保護十大事例を発表した。集佳の梁勇弁護士が担当する泉株式会社(日本)が広州美視晶蛍銀幕有限公司、北京仁和世紀科技有限公司を訴えた実用新案特許権利侵害事件がその中に名を連ねた。
近年、集佳は知的財産権訴訟における実力の強化を続けており、これまで担当したMontagut訴訟、BMW訴訟、口子酒訴訟等の多くの事例が、上海市十大知的財産権事例、最高人民法院十大知的財産権事例、品質保証委員会知的財産権事例ベスト10、安徽省十大知的財産権事例等に相次いで入選し、知的財産権業界で高い評価を得ている。
案件の紹介:
原告:泉株式会社(日本)
被告:広州美視晶蛍銀幕有限公司、北京仁和世紀科技有限公司
泉株式会社は「移動可能式スクリーン装置」実用新案特許の特許権者である。その特許は、合計32項目の請求項があり、泉株式会社は一審訴訟において請求項5と請求項12に基づいて明確に主張した。一審法院は審理を経て、美視晶蛍公司が生産販売し、仁和世紀公司が販売する被疑権利侵害品が、特許請求項5、請求項12が保護する技術方案を侵害していると認定した。この結果、次の判決を下した:美視晶蛍公司は権利侵害製品の製造販売を停止し、仁和世紀公司は権利侵害製品の販売を停止するとともに、美視晶蛍公司は泉株式会社に経済損失及び訴訟の合理的支出の合計12万元を賠償するよう命じた。本件の二審審理の過程では、国家知識産権局特許復審委員会は、無効宣告請求審査決定を下し、泉株式会社が提出した元の請求項1—6の修正請求項の削除をベースとして、本件に関わる特許権の有効を維持した。
担当弁護士の評価:
本件は、中国の法院による外国の知的財産権者に対する平等な保護の典型的事例といえる。本件において特許権者は被疑権利侵害品がその特許の2項の請求項を侵害したと主張し、一審法院は特許権利侵害の成立を認定した。その結果、被告に経済損失12万元の賠償を判決したほか、二審審理の過程では特許権者がその特許を補正し、一部の請求項を削除した。それにも関わらず二審法院は、賠償額をそのまま維持する判決を下している。本件の意義は特許権利侵害案件の確定において原告が主張する請求項の数量が、賠償金額確定のベースではないことである。即ち、被疑権利侵害品が特許のいくつの請求項を侵害しようとも、その数は賠償金額の確定に影響してはならないということである。
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